เข้าสู่ระบบ「起きて、湊くん。夕飯できたよ」
「ん、んん?」
「早く起きないとキスしちゃうよ?」
「ふぁっ!?」
目が覚めて真っ先に移りこんできたのは、日向の顔。
イタズラっ子のように口元に笑みを浮かべて、彼女は僕の顔を覗き込んでいた。 可愛いけど、こういう冗談は流石にドキッとする。 心臓に悪いのでやめていただきたい。「おはよ」
「お、おはようございます」
つい、敬語になってしまってけどしょうがない。
寝起きだし、頭ちゃんと回ってないし。「うん。夕飯出来たからリビング行こ。食欲はある?」
「大丈夫。というか、最近まともな物食べてなかったから凄くお腹すいてるかも」
夏休みに入ってから、ゼリー飲料とバランス栄養食しか食べていなかった。
だから、誰かが作る料理が食べたい。「ならよかった。湊くんって普段は自炊とかしてないの?」
「普段はしてたんだけどね。夏休み前のアレがショックすぎてさ。料理をする気にもなれなかったって感じかな」
普段であれば、冷蔵庫に入っている物で自炊をしているしスーパーに行って買い出しだってする。
だけど、浮気されて何もする気力が起きなかった僕はネット通販で買ったゼリー飲料とバランス栄養食だけを食べていた。「そか。なんか悪い事聞いちゃったね」
「気にしないでくれ」
気まずそうに視線を逸らす日向に、出来るだけ明るく笑いかけてからベッドから起きる。そして、リビングに向かうとそこにはパジャマ姿の小雪さんがお酒の缶を片手に夕食を食べていた。
「おはよ湊。気分はどう?」
「小雪さん、おかげさまでだいぶマシになりました」
小雪さんはさっき見たスーツ姿ではなく、ぴちっとした白地のTシャツに黒色のスウェットパンツを穿いている。
学校で見るキッチリとした教師像ではなく、年上の綺麗なお姉さんと言った雰囲気が強くなった。「なら、よかった。ほら、お腹すいたでしょう。遠慮せずに食べてね」
「お姉ちゃんが作ったんじゃないでしょ。全く」
「そうだった。ごめんごめん。ひなちゃんの手料理は本当においしいからさ」
「これ、日向が作ったのか?」
「うん。家事はある程度できるようにしたの。そうじゃないと生活力皆無のお姉ちゃんと一緒に暮らせないからね」
日向はジト目で小雪さんは見ていた。
そんな視線を受けた小雪さんはバツが悪そうにお酒を一口グイっと飲む。 美味しそうに飲むな。この人。「とりあえず、座ってよ。一緒に食べよ」
リビングの机は長方形で、椅子が四つ備え付けられていた。
このマンションは広いし来客も考えてなのだろうか。「なにからなにまでありがとうね」
「良いって。今は気とか使わなくていいから」
日向に促されるままに、僕は机に座る。
テーブルには肉じゃがと白米。 生野菜のサラダにみそ汁。 凄く豪華な夕飯だった。「いただきます」
「遠慮せずに食べてね」
日向は優しくそう言ってくれて、涙が出そうになる。
ついこの前までは世界の全てが敵のように思えていたけど、しっかり自分にも味方がいるのだとわかったから。「とりあえず、お姉ちゃん。お願いできる?」
「もちろん。そもそも虐めを止めれなかった学校側に問題があるからね。明日から忙しくなりそう」
「大変だと思うけど、よろしくね」
「任せなさいな。このお姉ちゃんに!」
小雪さんはそう言いながら缶に入ったお酒をぐびぐび飲む。
あんなに飲んで大丈夫なのか見ていて心配になる。「湊くん、美味しい?」
「凄く美味しい。本当に……」
自然と涙があふれてくる。
美味しいからと言うのもあるかもしれないけど、今までずっと一人で苦しさを抱え込んでたからこうやって誰かと一緒にご飯を食べれるのが嬉しい。 安心感に包まれるとでもいえばいいんだろうか。 一度涙があふれてしまったら止まらなかった。「み、湊くん!? だ、大丈夫?」
「う、うん。ごめん。なんか安心しちゃって」
「そか、大変だったもんね。今日はゆっくりして明日からどうするか考えよ」
日向は僕の背中をさすりながら、落ち着けるように背中をさすってくれる。
年下の女の子に慰められるのは情けない気がしなくもないけど、今はこの優しさに甘えることにしよう。「うん」
「ひなちゃん。湊の事は頼んだよ。私は少し忙しくなりそうだから」
「わかった」
それから僕は夕飯を食べて、そのまま溺れるように眠った。
久しぶりの心の底から安心できる時間だったと思う。【日向視点】
「湊くんをここまで傷つけるなんて許せない」
私は先ほど、疲れて眠った湊くんの髪を撫でながら決心する。
彼を陥れたやつらを絶対に地獄に落とすと。 心優しい湊くんと付き合っておきながら、浮気をした挙句冤罪まで着せて。 彼の居場所を奪おうとするなんて許せない。 度が過ぎている。「絶対に、絶対に許さないから」
私はそう決意をしながら、再び湊くんの頭を撫でる。
気持ちよさそうに寝息を立てている湊くんは凄く可愛かった。 凛とした顔立ち。 だけど、今は落ち着いたように寝息を立てている。「安心してね湊くん。私は湊くんの味方だから」
絶対に聞こえていないことはわかってるけど、それでも安心させることができるように私は湊くんの頭を撫で続けるのだった。
【日向視点終了】
「ん、むぅ?」
目が覚めると、見覚えがない天井が真っ先に目に入ってきた。
何があったのか、頭を働かせながら記憶をたどる。「そうか、僕は日向の家に泊まってるのか」
昨日から日向の家に泊まることになったのを思い出す。
なるほど、あの後すぐに寝ちゃったのか。 時計に目を向けると、時刻は九時。 早起きとは言えないけど、寝すぎともいえない絶妙な時間だった。「おはよう湊くん。調子はどう?」
「おはよう日向。うん、おかげさまで凄く調子がいいよ」
僕が起きてすぐに日向が部屋のドアを開けてくる。
日向の姿は大きなサイズの白いTシャツに黒色のショートパンツ。 スベスベそうな太ももが惜しみなく晒されていて、なんだか見てはいけないものを見てしまったような気分になる。「ならよかった。朝ごはん作ったんだけど、食べる?」
「食べる。ありがとう」
起き上がって、リビングに向かうとテーブルの上には美味しそうな朝食が並んでいた。きつね色の焼き目がついたトーストとサラダ。それにヨーグルト。
凄く健康に良さそうなメニューだった。「湊くん今日って何か予定ある?」
「特に何もないよ。なんで?」
「少しは外に出たほうがいいなって思ってさ。一緒に出掛けない?」
「全然良いよ。僕も特にやるようなことないし」
日向の言う通り、外に出れば気分転換が出来るかもしれない。
いつまでも部屋の中に籠っていたら、気分が一層滅入ってしまう。「そか、じゃあ今日は一緒に買い物行こ」
「わかった。ついて行くよ」
もしかしたら日向に気を使わせてるのかもしれない。
だけど、もう少し彼女の優しさに甘えていたいと思う。「良かった。間に合った」 依然として問題は何一つ解決していない。 だけど、日向が殺されるという最低の結末を回避することはできた。「退いて! そいつを絶対に殺すから」「舐めるな。ここで退くほど僕は往生際が良くない。ボロボロの日向を見捨てて自分の命を優先できるほど腐っちゃいない」 ここで日向を……世界で一番好きな人を見殺しにするくらいなら、僕が殺されたほうがマシだ。 僕はもう、日向のいない世界に耐えられる気がしないから。「みな……とくん?」「遅れてごめん。全ては僕の判断が甘かったせいだ」 日向を一人で校門に行かせてしまった事。ほのかを野放しにしてしまった事。 彼女の僕への執着を見誤ったこと。 そのすべてが、僕が招いた判断ミス。この事件の遠因は僕にある。 なら、この手のひらの焼けるような痛みは甘んじて戒めとして受け入れよう。「くっ」「とりあえず、離れろよ」 ナイフを力いっぱいに握りしめる。鮮血が流れ落ちて、屋上の床を汚す。 ポタポタと水音が静寂に包まれた屋上に鳴り響く。「湊くん……血が」「大丈夫。日向はそこで座ってて」 左手の手のひらは絶えず、激痛を訴えているがいったん無視だ。 それよりも、目の前の出来事に集中するべきだ。「なんで! なんで庇うの!?」「世界で一番大切だからに決まっているだろうが! ふざけるのも大概にしろ」 許せない。日向を傷つけたこいつが。 それ以上に、この状況を招いた自分自身が。 僕がそう怒鳴った瞬間に怯んだほのかは包丁から手を離して距離を取る。 掴んだ包丁を入り口の方に投げ捨てて、日向の方を見る。 両足に切り傷があって、血が滲んでいる。出血量はそれなりに多そうだけど、命に別状はなさそうだった。 そこだけは一安心だ。「湊がそこまで洗脳されてるだなんて。わかった、死なない程度に痛めつけてそこの女を殺してやる」「それだけは絶対にさせない。僕が生きているうちは。日向を殺したいんならまずは僕を殺してからやるんだな」 今のほのかの目からは正気を感じない。 どう考えても、まともじゃなかった。「大丈夫だよ。湊は殺さない。そこの泥棒猫だけだよぉ~殺すのはさ」 いいながら、ほのかは制服の胸ポケットからナイフを取り出す。刃渡りは八センチほど。かなり大型のナイフで対応を一つ間違えたら一瞬であの世行きだ。
「それがな、ついさっきの話なんだが。佐山要が何者かに腹部を刺されて緊急搬送されたらしい。幸い命に別状はなかったが複数回刺された形跡がったそうだ」 「よく複数回刺されて生きていましたね。普通は死にませんか?」 「発見が早く、すぐに緊急搬送されたのが功を奏したらしい。後数分見つかるのが遅かったら死んでしまっていたそうだぞ」 「でも、一体誰に刺されたんですかね?」 アイツの交友関係は知らないけど、そう簡単に人を刺せるような奴が多くいるとは思えない。 「それは調査中らしい。でも、何度も刺しているところからかなりの恨みを持った人物の犯行ではないかと警察は考えているそうだ」 「なるほど。まあ、僕にしたことと同じ様な事をしていたのであれば恨みを買っていてもおかしくはないですね」 「そうだな。一応聞いておくが、お前じゃないよな?」 「そんなことしませんって。僕に何のメリットもないですし」 僕は確かに佐山に酷いことをされたけど、そこまで憎んでいるわけじゃない。 もっと言えば、あいつを刺して日向との幸せな生活を脅かすようなことをしたくないんだ。 「だよな。早く犯人が見つかると良いんだが」 「ですね。じゃあ、僕は先に帰っておきますね。日向に校門前で待ってもらってるので」 「それは早く行ってくれ。外は寒いからな」 「はい。それじゃあ、失礼します」 「ああ。気を付けて帰るんだぞ」 小雪さんにそう言われながら、僕は職員室を後にして校門前に向かう。 だが、校門前についても日向の姿は見当たらない。 あの子が僕に何も言わずに帰ることは考えずらいので、まだ校内にいるのだろうか? 「……なんか嫌な予感がするな。佐山の件と言い物騒だし」 急いで下駄箱に向かい日向の靴があるのか確認する。 そこには日向の靴があった。 「つまりは、校内にいることは確定ってわけね」 とりあえず、生徒会室からここに来るまでのルートを探すことにする。 もしかしたら、何かの手がかりがあるかもしれない。 「クソ、こういう時に限ってもう消灯してるんだから」 スマホのライトを使って廊下を照らしながら、走り回る。 そこで、奇妙なものを見つける。 「……血痕? なんでこんなところに」 しかも、持続的に血痕が移動しておりまともに止血していないことが伺える。
時が流れるのはあっという間で、つい先ほどまでクリスマスパーティーに向けた書類仕事に励んでいたはずなのに明日にはそれが本番になる。 時間の流れは本当に早い。それだけ最近の生活が充実しているからなのか。 それとも、他に何かの要因があるのか。「ついに明日だね。湊くん」「だね。結構頑張ったから成功してくれると嬉しいな」「絶対成功するよ! みんなであんなに頑張ったんだもん。あとすることと言えば、当日の運営と生徒会長挨拶で湊くんが挨拶するくらいでしょ」「それが凄く緊張するんだけどね。明日の午前は終業式があって、午後からはクリスマスパーティー。予定がてんこ盛りで疲れちゃうよ」 少し前までは暇な学生生活を送っていたのに、ここ一ヶ月は目が回るくらいに忙しい。思えば、日向と付き合い始めてからずっとこんな風に忙しいような気がする。 それはありがたい事なんだけど。「明日は家に帰ったらゆっくりしよ。クリスマスイブとクリスマスは旅行なんだからさ」「そうだね。温泉旅行なんて何年かぶりだから久しぶりに心躍るな~」「わかる。ま、温泉旅行を楽しむためにもパーティーの成功はさせないと気分的に楽しめないよね」「ああ。といっても、今日はもうやることが無いから家に帰るくらいしかすることが無いんだけどね」 既に、窓の外は暗くなっていて最終下校時間が迫ってきていて学校の中からはあまり人の気配を感じない。 ここまでくると少し不気味に感じてしまう。「いったん帰ろうか。夕飯の支度もしたいしさ」「うん! じゃあ帰ろっか」「僕は生徒会室の鍵を職員室に返してくるから、先に校門あたりで待っててくれ。大丈夫だとは思うけど、校門の外に出ないでね。変な人がいるかもだから」「わかってるよ! じゃあ、先に行ってるから早く来てね」「うん。あんまり待たせないようにするよ」 一旦は日向と別れて僕は職員室に向かう。 そこで小雪さんに鍵を渡して帰ろうとするのだが、呼び止められてしまった。「湊、クリスマスパーティーの準備の方はどうだ?」「順調ですね。というか、望月先生には毎日報告してるじゃないですか」「それはそうだが、やっぱり気になる物は気になるんだよ。最近妙な話も聞くわけだからな」「妙な話? どんな話ですか?」「ああ、それがな……」【日向視点】 最近は湊くんとずっと一緒に居れて楽しい。湊く
「なあ、お前はなんでそんなに普通の顔をしてられるんだよ。この書類仕事疲れねぇの?」「疲れはするけど。そこまでじゃないよ。僕は元々こういう仕事は嫌いじゃないしね」「そりゃ、知ってるけどよ。にしてもだろ。その机に積まれてる書類の山的にさ」「まあね。クリスマスパーティーの運営業務が初仕事になるだなんて思わなかったよ」 今、僕達生徒会が担当しているのは十二月の末に行われるクリスマスパーティーの運営に関する仕事をしていた。 場所や時間は既に決まっているので、パーティー時に行う催しだったりケータリングの手配。その他もろもろと言った感じだ。「隆介先輩。弱音を吐いていても仕事は終わらないんですから、頑張りましょ」「後輩にこう言われたらやらざる負えないな。うし、頑張るか」「その調子だぞ~隆介。あと、これよろしくな」「……おい。お前俺がやる気を出した途端に仕事を押し付けるなよ。まあ、やるけどさ」 なんやかんや文句を言いながらも、隆介はちゃんと書類仕事をこなしてくれる。 その様子を見ながら、僕も自分の書類を進めていく。 カリカリと書類に何かを書き込む音だけが、生徒会室に響いていた。 こういうのも案外悪くないな。勉強とは違った感じで。「そう言えばですけど、日向さんはどうしたんですか? 今日はこないんですか?」「ああ、日向ならこゆ……望月先生に呼ばれてるんだ。もうそろそろ帰って来るはずだけど」「そりゃあ、珍しいな。日向さんの事だから怒られてるってことは無いだろうけどよ」「僕も詳しく聞いたわけじゃないからわからないけど。多分、ほのかが流した噂の件で呼び出されてるんじゃないか?」「……ああ、なるほど」 隆介は苦い顔をしながら、苦笑していた。 彼女を職員室まで連れて行った際に相当暴れられたらしいので、苦い思い出しかないのだろう。 その節は本当に迷惑をかけて申し訳ないと思っている。「夜霧先輩、心配なら見に行ってもいいんですよ?」「う~ん、どこにいるかわからない状態ならまだしも。場所はわかってるし、望月先生の所にいるなら安心だしね」「つっても、心配なもんは心配だろ?」「それはまあな。心配じゃないと言ったら嘘になるけど。会長の業務を放棄するわけにも行かないしね」 心配ではあるけど、僕には会長と言う立場がある、 二人を巻き込んだのが僕である以上、その
「今日は騒ぎを起こして本当にごめんなさい」「いいって。そんなに謝らなくても。僕は気にしてないしさ」 帰り道も日向は申し訳なさそうに頭を下げてくる。 僕は元気な顔をしている日向のことが好きだから、出来れば笑顔で居て欲しい。「それよりも、楽しい話をしよう。少し気が早いけど、クリスマスとかどこかに遊びに行かないか?」「クリスマス……うん! 最高に楽しそう」「でしょ? それに、付き合って最初のクリスマスだから盛大に何かやりたいね」「うんうん! どこかに旅行に行くってのはどうかな?」「いいな。日向は行きたいところとかある?」 僕としては、日向と一緒に居る事が出来ればどこだってかまわないんだけど。 でも、何でもいいって言う返答は帰って困らせてしまう可能性だってある。 そうなった場合は僕が何か提案をすることにしよう。「う~ん、ぱっと思いつくものはないけど。逆に湊くんはどこか行きたい場所とかってないのかな?」「僕は温泉旅行とかに行ってみたいけど。日向はどうかな?」「温泉旅行!? 凄く良いね!」「なら、とりあえずはそれでいこう。日向も他に行きたい場所があったら遠慮なく言ってくれ」 日向が行きたい場所が出来れば、二人でそこに行けばいいし、仮に出てこなかったら温泉旅行に行けばいい。 僕たちにはまだまだ時間がある。 ゆっくりと二人で色んな思い出を積み重ねて行けばいい。「もちろん。でも、正直に言っちゃうと湊くんと二人ならどこでもいいよ」「……僕もそう思っているけど、改めて言われると照れるね」 良かった。日向が笑ってくれてる。 やっぱり、日向はこんな風に笑っている方が可愛い。 可愛いというか、もはや尊い。「えへへ。湊くんは案外照れやすいよね。可愛い」「そういう日向だって照れやすい癖に」 精一杯の照れ隠しを言いながら、僕たちは笑顔で帰路を辿る。 時刻は既に午後六時を回っていて日が沈んでいた。 夕陽が日向の顔を照らしていて、すごく綺麗で美しくて。「……なぁナチュラルに俺の存在を忘れてないか?」「「……あ」」 後ろから隆介に声をかけられてはっとする。 そう言えば、今日は三人で帰っていたんだった。 日向と話すのに夢中ですっかり忘れてしまっていた。 すまない隆介。「まあ、お前らが仲いいのは知ってるしさ。別にいいんだけどよ。俺は彼女が
「何があったの? 秋奈さん」 尋常じゃない様子の秋奈さんに水無月先輩も少し面食らっている様子だった。 僕自身も少し動揺しているけど、その動揺を見せるわけにはいかない。 曲がりなりにも今の僕は会長なのだから。「それが、少し揉め事が起きているというか……ですね」「揉め事? 珍しいね。この学校で揉め事なんて。それで? 何があったん?」「そのぉ……日向さんが」「……なんでや」 日向が誰かと揉め事を起こすとは考えにくいけど、この様子からして嘘ではないと思う。何より、ここで秋奈さんが嘘をつく理由が全くない。「えっと、聞いた話なんですけど。どうやら、一年の子が夜霧先輩をバカにしてたらしくて」「……」 なるほど。それなら、日向が怒るのも納得はできる。 まあ、僕なんかのために揉め事を起こしたくて欲しくはないんだけど。 怒ってくれたこと自体は少し嬉しい。「なので、ちょっと来ていただけると」「わかったよ。そういう事なので水無月先輩。ちょっと行ってきます」「おう。行ってらっしゃい。会長の初仕事がんばってね!」「ありがとうございます。じゃあ、秋奈さん案内お願いしてもいいかな?」「勿論です。こっちに来てください」 こうして僕は、気持ちの整理をつける暇もなく問題の解決に向かう事になった。 ◇「もう一回言って見なさいよ!」「だから、何度だって言ってやるさ。神凪会長のおこぼれで会長になった浮気男ってな。あんなのに会長が務まるわけないのに」「……なんですって?」「はいはい。そこまで。二人とも一旦落ち着こうか」 ヒートアップしている二人を一旦離れさせる。 日向は秋奈さんに任せて、僕は日向と言いあっていた男子生徒の話を聞く。「それで? なんでこんな騒ぎになっているんだい?」「もとはお前のせいだろ! お前なんかが会長になったから」「それを僕に言われてもね。会長選挙に出たのは僕の意志だけど、当選したのは学校の総意だ」 そこの責任を僕に問われても、どうしようもないじゃないか。 この子は何をそんなに怒っているんだ。 未だに僕のことを睨みつけながら、男子生徒は悪態をつく。 金色に染めた短髪に鋭い目つき。僕と同じくらいの身長で筋骨隆々と言うわけでもない。この子からはスポーツをしているような感じはしない。「それが納得いかねぇって言ってんだよ。なんでお







